最初の日本版レッドデータブックが出た頃、この植物は人気者だった。
但馬で最初に見つかったのは、建設省の第1回河川水辺の国勢調査の中
でのことだ。もう10年ほど前のことだ。私も同じ頃、円山川の調査を
していたが、全然知らなかった。あるということを知ると同時に調べて
みることにした。
建設省の調査では出石川から非常に大きな群落が報告されていた。場
所は、堤外にある休耕田である。逆サイドの高水敷きにもあった。希少
種としては他にはホソバイヌタデ、マツカサススキ、カワヂシャ、ゴキ
ヅルなどが見られた。
タコノアシが一番優勢で、一面タコノアシという場所もあった。万の
レベルの個体数に違いないと思われる規模だった。近畿地方最大級では
ないかという意見もあったが、そうかも知れないと他の場所も知らない
くせに思ってしまうほどだった。
タコノアシは、茎が赤くてすっと伸びている。すだれに使うのだそう
だ。あの時期は絶対にすだれが作れた。あれ以来あんな見事な群落には
出会っていない。惜しいことをしたなあと思っている。その群落は、休
耕田の水が絶たれたことと遷移が進んだことで、今では、ていねいに探
してようやく小さな群落が幾つか見つかる程度になっている。対岸には、
もう見られない。
さて、その年からぼちぼち調べてとりあえず次の場所で確認できた。
円山川(左岸)
八鹿町宿南;円山川で私の知っている最上流はここだが、要するにそ
の上はまじめに調べていないということである。誰か調
べてほしい。
日高町府市場;いろんな本に使った真っ赤に染まったタコノアシの写
真はここで撮った。
日高町西芝;増水で削り取られた場所に出てきた。ミクリもあった。
2年ほどで消えてしまった。
豊岡市土渕;蓼川大橋上流左岸側に小さな池があるのだけどそこに数
本あった。今はもうない。
豊岡市佐野;災害復旧でできた護岸がある。ちょっと変わっていて、
捨て石で浅い部分がある。後の工事では、削って引くの
だけどここは、前に出してある。河積をとるので前から
不思議に思っている場所である。ここの高水敷きに接続
する高い部分に大量にタコノアシが出てきた。数年持っ
た。工事をすれば、円山川下流域ではタコノアシが出る
ということに最初に気づかせてくれた場所である。
豊岡市堀川橋下;神戸新聞の「いのちのまほろば」に紹介された場所
である。大量に出た。1000は越えていただろう。今
では小さな群落になっている。
円山川(右岸)
豊岡市土渕;数年前までサケどうがあった場所の横にあった。水の中
から生えておりヤナギタデと一緒に生えていた。流水中
に生えているのはここでしか見ていない。完全に自然な
状態で生えている中では最大の群落だったのだろう。今
はもう見られない。
豊岡市土渕;運動公園の横から川に下りられるのだが、そこのブロッ
クの中に生えていた。ブロックの中には石が詰めてあっ
て、そこに泥が入ってから出てきた。今はもうないのか
もしれない。今年は見ていない。
円山川(中洲)
城崎町ひのそ島;休耕された当時はたくさんあった。今はおそらく
ないだろう。
こうしてみてみるとほとんどが人為の場所である。その人為の場所も
すぐに姿を消してしまう。誠にやっかいな植物らしい。非常にデリケー
トなのかなと思っていると、釣り人が歩いたあとに生えていたり、ブル
ドーザが走ったあとに生えていたりとなかなか困ったやつである。
種子の数は半端ではない。
『日本植物種子図鑑』東北大学出版会によると種子の長さは0.7mm
で、幅と厚さは0.3mmしかなく。重さは2000個で35.3mgであ
る。一つの果実(タコの吸盤みたいなやつ)におよそ1200個入って
いるという。この果実が多いものは何十とついているのだから、1株か
ら数万の種子がまき散らされるということになる。これが1万株ほどあ
った場所からは億単位の種子が出ている。下流域で工事の度に出てくる
のも不思議なことではないのかも知れない。
発芽というのか、定着はいいと思う。前任校の弘道小学校には、結構
大きな調整池があって、そこに泥がたまっていて、格好のビオトープ状
態だったので、クワ1本で挑んでデタラメにタコノアシの種子がばらま
くと数年後に出てきた。それから5年以上龍が経つが、条件がよいよう
で、とりあえずずっと優占している。ここから出ていった種子もすでに
数百万は越えているだろう。
では、分布の続き
出石川
出石町長砂;竹林邸(うどんやさん)の下の高水敷き。出石川での
最上流での記録になる。かろうじて2桁あった。河道
にはミクリがやらたあったが、今でもどちらもないら
しい。
出石町伊豆;高水敷きに点々とあったが、今ではない。
出石町片間~豊岡市加陽;近畿最大級といわれた群落があった場所
六方川
確かどこかで見たが忘れてしまった。
川ではないが、六方田んぼにはある。岡本さんの六方メダカ公園に
は数株あり、横の道を六方川まで行くと数枚の休耕田があるが、そこ
にはぼちぼちある。
矢田川
河口部にわずかにある。
岸田川
久斗川との合流点近くにわずかにある。
at: 2001/12/28(Fri)