
このブナ巨木は、万場スキー場のすぐ近くに生えている。
神鍋は、大規模なスキー場となかなか状態のよい自然林(ブナ・
ミズナラ林、トチノキ林、オニグルミ林、サワグルミ林などを含む)
が交互にある。自然林が残っている理由は地形図をよく見れば分か
る。谷に沿って地形図を見ていくと、集落は地滑り跡にできている
ことが分かる。山の全面がスキー場になると集落はどうなるか誰に
でも分かる。
このブナが再発見されたのは、村の古老に聞き取りをしたからで
ある。今から思えば最後の機会だった。すでに昔を知る人はほとん
ど残っておらず、現地を案内できる体力を持つ人はさらに限られて
いた。
幹周りは615cmあった。当時、出版されていた環境庁『日本
の巨樹・巨木』によれば静岡にあるという木についで日本で2番目
の太さだった。それ以後、和賀山塊にブナの巨木がたくさん見つか
り、今では日本で5番目くらいの太さになっている。
写真を見ると分かる通り、この木の幹は一度細くくびれてまた太
くなっている。木の太さは1.3mの高さで測るというのがルール
になっているが、この木の場合、この細くなっているくびれがほぼ
その1.3mにあたっている。
巨木の測り方は、二通りある。でこぼこを無視して一回りさせる
という方法とでこぼこに沿って掌で巻き尺を押しつけていく方法で
ある。もちろん後者の方が大きな値になる。この木の発見時には前
者の方法で測った。最近の環境省の測り方は後者である。そこで、
最近、機会があったので測り直してみた。前者の測り方で620c
m、後者の測り方では7mを越えていた。
2003年の兵庫県のブナ林は、1993年以来の大豊作となっ
た。夏に氷ノ山などに登った際に大量の実をつけた枝が落下してお
り、今年は生り年なのかと思っていたが、ここ十数年で最大の生り
年になったらしい。
結局、今年は、組織的に種子を集めることができず、但馬産の種
子を冷凍保存しておく絶好のチャンスを逃してしまったと悔しい思
いをしている。次善策として来年に大量に生じるであろう芽ばえを
どこかに植えておくことができないかと思案しているところである。
at: 2003/11/25(Tue)