水の上に浮かぶ1年草のシダ植物です。かつては多くの水田や池沼
にあり、全国的に害草として嫌われていました。葉がサンショウに似
ているのでサンショウモと呼ばれます。よく似た種類(オオサンショ
ウモ)が観賞用に外国からやって来ています。
『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物 植物Ⅰ(維管束植物)
2000 レッドデータブック』環境庁編 という絶滅が心配される
生きもののことを書いた本がありますが、その中では絶滅危惧Ⅱ類
(VU;近い将来における絶滅の危険が高い種)になっています。そ
の本では全国に約5万個体が生育していると推定されており、このま
ま放置しておくと100年後には100%絶滅するだろうと書かれて
います。少なくなった原因は、農薬汚染、土地造成、池沼の開発だろ
うといわれています。
私は田んぼの乾田化も大きな影響を与えたと思っています。この植
物は冬は胞子の姿で過ごします。春(4月~5月)になって水中にあ
った大胞子が発芽し、水面にあった小胞子も発芽し、やがて前葉体と
受精し、本葉が出てくるようになります。乾田だとこの胞子の過ごす
水がないので、毎年、毎年乾かされると少なからぬ影響があるのかな
と思っています。
兵庫県では、少し前まで太平洋側に大きな池を一面覆うような場所
が知られていましたが、現在では、非常に少なくなって兵庫県版レッ
ドデータブックのBランク(近い将来における絶滅の危険が高い種)
になっています。但馬でも、かつては各地に普通にあり、豊岡でも水
田にありふれていたと聞きますが、『日本のシダ植物図鑑 5巻』日
本シダの会 倉田悟 中池敏之編東大出版会には但馬に2つのポイン
トが打たれているだけです。但馬の多くの植物の例に漏れずこの植物
も調査(標本に残されること)されていないのですね。上田代表によ
ると代表が高校生の頃には、豊岡市戸牧の田にいくらでもあったそう
です。ところが、現在では、神美の半坂池にしか知られていません。
この池にしても、数年前は池のどの面を見てもたくさん浮いていたの
が、目を皿のようにしてようやく数個見つかるような状態になってい
ます。池からの再生を期待していますが、保険のために数カ所に避難
させていますので、最悪そこからの再導入も計画しています。丹後は、
但馬に劣らず自然が豊かだと思っていましたが、サンショウモはお隣
の京都府では絶滅したとされています。
at: 2001/10/01(Mon)