イチリンソウ


イチリンソウ キンポウゲ科
 
 園芸植物にアネモネという鮮やかな花を咲かせるグループがあるが、この
清楚な花もアネモネ属である。日本にあるアネモネ属の植物はたいがいさわ
ると折れそうな弱々しい姿をしている。これは、日本のアネモネ属が「春植
 
物」と呼ばれるグループに属するからである。春植物というには、スプリン
グ・エフェメラルとも呼ばれる植物達で、葉を落とした裸の落葉樹の中で春
先の光を独り占めして一気に一年分の栄養分を稼ぎ出す。春植物は木の葉が
 
展開して地面に光が射し込まなくなる初夏には地上部が枯れてしまい、地下
の根茎で暮らす。
 春植物が柔らかなのにはわけがある。春先の1~2ヶ月しか使わない地上
 
部に必要最小限の資源しか使わないのだ。頑丈なからだを作っているほど余
裕がないということかも知れない。春植物はほとんど水でできているといっ
ていいような植物である。
 
 但馬には次のアネモネ属の植物が知られている。イチリンソウ、ニリンソ
ウ、キクザキイチゲ、アズマイチゲ、ユキワリイチゲである。花びら(正確
にはがく片)の色だが、キクザキイチゲはピンクや紫を帯びたものも多く、
 
ユキワリイチゲも紫を帯びているが、他は白である。
 イチリンソウ、ニリンソウ、キクザキイチゲは、個体数が多い。最も密生
するのはニリンソウである。一面、ニリンソウという場所も結構ある。キク
 
ザキイチゲも群生するところがあるが、密生せずに個体個体がやや離れて生
えているように思う。イチリンソウはさらにまばらな印象があるが、写真の
ように群生していることもある。アズマイチゲ、ユキワリイチゲは、分布が
 
限られている。豊岡盆地周辺に限ると私はそれぞれ2カ所しか知らない。ア
ズマイチゲは今後の調査で一気に確認場所が増えると予想しているが、私が
知っているユキワリイチゲは、極めて特殊な立地に生育しているので、とり
 
あえず予断を許さない状況だと思うことにしている。
 日高町のある谷では、イチリンソウ、ニリンソウ、キクザキイチゲ、アズ
マイチゲ、が半径100m位のところで見られる。微妙に生育環境が異なる
 
ようで、ニリンソウとアズマイチゲが見られる場所では、ニリンソウは開花
するがアズマイチゲは開花したのを見たことがない。キクザキイチゲとアズ
マイチゲは隣り合って開花していることもあるが、アズマイチゲは光の敏感
 
なようで、暗くなるとすぐに閉じてしまう。イチリンソウは、他の種類と混
生してないように思う。

 at: 2002/04/28(Sun)
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