
においを覚えよう。植物の名前を覚えるときには、五感を全て使いま
しょう。見て、聞いて(葉が風でこすれる音で分かる植物もあるのです。)
、さわって、かじって(毒草も飲み込まなかったら多分大丈夫?)、に
おいをかいで・・・・。 ここでは、においが特徴的な植物を紹介しま
しょう。実際に少しちぎって香りを楽しんでみてください。
ヘクソカズラ
アカネ科の植物で、家の周りから林の縁までいたるところにあります。
葉は対生で、葉柄の基部には三角形のりん片があります。これは左右の
葉のたく葉がくっついて一枚になった特殊なたく葉です。茎は右巻です。
中が赤い釣りがね型の白い花を8月~9月に咲かせます。
においに敏感な人は近づいただけで悪臭に気づきます。なんといっても
「へ」と「くそ」です。読んでるだけで、ほんとに強烈なにおいがしそう
ですね。葉を一枚ちぎってにおいをかいでみて下さい。鼻が曲がります。
このにおいだけでばっちり覚えられます。
このにおいは、外敵(多分昆虫でしょう)から身を守るためにヘクソカ
ズラが開発した化学兵器なのです。その効果は抜群のようで、虫にかじら
れた跡のあるヘクソカズラにはなかなか出会えません。しかし、上には上
がいて、ヘクソカズラを食べることで、このにおいの成分を体の中の取り
込んで自分の体を守る虫もいるのだそうです。
それにしても、ヘクソカズラとはかわいそうな名前ですが、万葉集に
「くそかすら」と出ているように歴史のある名前なのです。でもやっぱり
気の毒ですね。大丈夫です。素敵な名前もあるのです。ヤイトバナ(花芯
の赤味を灸(やいと)のあとに見立てたもの)、サオトメバナ(早乙女花
;花のかわいらしさから)という呼び名もあります。
ところでヘクソカズラの海岸型は、葉が厚くててかっています。この型
はハマサオトメカズラと呼ばれますが、これでは事情を知らない人は、名
前を聞いただけではヘクソカズラの一つの型だとは思わないでしょう。た
とえ気の毒でも名前にはルールがあったほうがいいかもしれませんね。
さて、強烈なにおいで無敵に思えるヘクソカズラですが、やはり人間に
は敵いません。きっちりと利用されています。日本では、果実がしもやけ
の薬として利用されていますし、中国やインドネシアでは全草を薬にする
そうです。インドには同じようなにおいのするよく似た植物の若いつる先
を食べる地方もあるそうです。
知人はツルならなんでも編んじゃう人なのですが、ヘクソカズラは、黄
色い実も風情があるといって利用します。
読売新聞の連載では、短いものしか書けないのでついつい長く書いてし
まいました。しばらくこの手の話が続きます。
at: 2001/08/09(Wed)