
トキソウ
ラン科
とき色の花をつけるのでトキソウというのだそうだ。とき色と
言われても困る。漢字で書くと鴇色。いよいよ難しい。この色は
トキという鳥の羽の色なのだそうだ。そんな羽、もちろん見たこ
とがないので、逆に私はこの花の色を見て、トキの色ってこんな
なのかなと思う。日本にはいろいろな色の名前がある。山吹色は、
ヤマブキがいくらでもあるのでよく分かる。しかし、紫は、ムラ
サキが絶滅に瀕している。トキもそうである。このままでは言葉
だけが生き残りそうだ。
トキソウは日当たりのよい湿地に生える。但馬にはそんな場所
は多くない。
トキソウは茎が地面から1本すっと伸びる。その先に花がつく。
高さは25cmほど。茎の中程に10cmほどの葉が1枚ある。
花の下にも葉が1枚あるが、これは苞葉と呼ばれる葉だ。
今年になって『改訂・兵庫の貴重な自然』がでたが、そこには
但馬にもトキソウがあるとなっている。前回の版では、ないこと
になっていたので、うれしかった。怠け者の私は前の版が出る前
から但馬にトキソウがあることは知っていた。しかしそれを標本
にする努力をしてこなかった。証拠がないとので但馬にはトキソ
ウがないことになっていたのだ。誰かが標本を作ったのだろう。
ありがたいことだ。
少しいいわけをしておくと、私の知っている産地にはどこも標
本を作っていいのだろかというほどの個体数しかなかった。
今年もその中の一つの場所に行ったが、開花していたのは4ヶ
所で6株ほどだった。これでも多い方で、過去は多くて2株とい
うような状況だった。個体数の少なさが盗掘のせいなのか、シカ
の食害のせいなのか私には分からない。
最近、湿地と言うほどでもない場所で見つかっているので、そ
れほど神経質にならなくてもいいのかなと思い始めている。栽培
は、難しくないようだ。浅い鉢にミズゴケ植にして、液体肥料を
ときどき与えるのだそうだ。種子を採集して、無菌培養で苗を作
ってもらって、それを生育地の小学校にお願いしてもいいかなと
思っている。
at: 2003/07/06(Sun)