但馬のコウノトリ

但馬のコウノトリ

但馬地域では20ペア以上が繁殖しており、市内では多くのコウノトリを観察することができます。

豊岡市内の「コウノトリ目撃情報」

「コウノトリ目撃情報」とは、兵庫県豊岡市内を中心に、市民がコウノトリを目撃した場所や行動・個体番号などを投稿し共有しあうメーリングリストです。投稿は1日ごとに集計され、広くオンラインブログで毎日更新され続けてきました。

過去のデータから分かったこと

目撃件数


取り組みは現在も続いていますが、ここでは投稿が開始された2002年から2024年までの22年間に、豊岡市内で収集されたデータについて集計しました。その結果、22年間の総目撃件数は256,645件、1日の平均目撃件数は約30件でした。

2019年のピーク以降、コロナ渦の外出自粛の影響もあり件数は減少傾向でしたが、近年再び増加傾向にあります。国内の野外個体が少ない頃から、豊岡市において市民がコウノトリに高い関心を持っていたことがグラフからも読み取れます。

よく目撃された個体

22年間に豊岡市内で目撃された個体数は、少なくとも537個体でした(※1) 。この期間に国内の野生下で生息した個体数は、約750個体であり、その約7割が豊岡市内で確認されたことが明らかになりました(※1 ※2) 。ここでは、その中でも目撃頻度の高い5個体について紹介します(※3)。
※1.現在は死亡している個体も含みます。
※2.参考:兵庫県立コウノトリの郷公園作成「野外コウノトリの系譜」
※3.国内の野外コウノトリにはほぼ全個体に足環がつけられており、個体情報(個体番号、性別、生年月日等)を調べることができます

第1位: J0296
♀.2001年生まれ.飼育下孵化

 2005年の放鳥式典で放たれたうちの1羽です。
 2006年にペアを形成し、野生絶滅以降国内で38年ぶりに産卵した個体です。その後オスが死亡しペア解消となりましたが、2008年から2024年まで豊岡市の伊豆巣塔でJ0381と繁殖しました。2025年、J0296が骨折により収容されている間に、長年なわばりに居候していたメスとJ0381がペアになりました。J0296は2025年現在も収容中ですが、17年間に計21羽のヒナを巣立たせた伝説のコウノトリです

第2位:ハチゴロウ
♂.生年不明.国外から飛来

 野生復帰直前の2002年に国外から飛来した野生個体です。8月5日に来たためハチゴロウと名付けられました。2007年に死亡しましたが、野生復帰を目前に、期待と不安を抱えていた市民や研究者など多くの人々に希望と感動を与えました。
 ハチゴロウが頻繁に滞在した田んぼは、豊岡市が一部を買い取り、コウノトリの餌場として「ハチゴロウの戸島湿地」が整備され、その近くには管理・観察棟も建てられました。
 現在に至るまで、コウノトリの野生復帰や自然保護の普及啓発に貢献し続けている伝説のコウノトリです。

第3位: J0362
♀.2003年生まれ.飼育下孵化

 2005年の放鳥式典で放たれたうちの1羽です。
 2008年から2023年まで豊岡市の野上巣塔でJ0001と繁殖しました。2024年にJ0001が死亡し、ペア解消となりましたが、16年間に合計24羽のヒナを巣立たせた伝説のコウノトリです。

第4位: J0399
♀.2005年生まれ.飼育下孵化

 野生絶滅直前に国外から飛来した野生個体「武生」の孫です。
 2011年から2024年まで豊岡市の山本巣塔でJ0011と繁殖しました。2022年には一度ペアを解消し、J0011は他のメスと繁殖しましたが、そのメスが怪我で収容されたことにより、2024年にJ0011とJ0399が再びペアになりました。しかし、その後J0011がまた他のメスとペアになり、J0399はそのメスとの 闘争の末重傷を負い一時収容されました(その後回復)。「コウノトリは生涯同じペアで添い遂げる」という通説を覆し、波乱万丈な鳥生を送っていますが、12年間に合計26羽のヒナを巣立たせた伝説のコウノトリです。

第5位:エヒメ
♀.生年不明.国外から飛来

 2006年に国外から飛来した野生個体です。2009年から2014年まで、豊岡市の祥雲寺巣塔でJ0405と繁殖しましたが、J0405がケガにより収容されたことでペア解消となりました。2022年には息子であるJ0021とペアになりましたが、近親婚を防ぐためJ0021を収容し、ペア解消となりました。翌2023年には孫のJ0083と繁殖しましたが、その後行方不明になりました。8年間に計13羽のヒナを巣立たせ、国外の貴重な遺伝子を後世にのこした伝説のコウノトリです。