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![]() 気高町日光地区の湛水水田で暮らすコハクチョウ |
◆実施日 2003年1月25日(土)〜26日(日) ◆参加者 市民研究所 上田、菅村、稲葉、高橋、大槻、鳴海、谷上 コウノピア 浜田 ◆視察場所 (1)鳥取県米子水鳥公園(鳥取県米子市彦名新田665 TEL:0859-24-6139/FAX:24-6140) 対応者:米子水鳥公園ネイチャーセンター 指導員 神谷 要 米子水鳥公園は、豊岡と同じ山陰にあります。米子の水鳥の様子や環境は、豊岡の自然 環境を考えるとき、かならず参考になるはずです。米子に行くガンやハクチョウたちに とって、豊岡盆地はなぜ通過点なのか。もちろん、宍道湖を中心として環境の規模は違 いますが、円山川下流域の環境は、ガンが越冬地にするぐらいのところまで持っていけ ないものでしょうか。 (2)とっとり花回廊(鳥取県西伯郡会見町鶴田110 TEL:0859-48-3030/FAX:0859-48-3040) 米子道溝口ICより西へ10分、開館9:00〜17:00 鳥取県西部、標高1711メートルの大山を間近に望むフラワーパーク。総面積50ヘクター ルと日本最大の規模を誇る園内には、400種180万本もの草花が咲く。園の中心に位置す る直径50メートル、高さ21メートルの温室「フラワードーム」や一周1キロメートルの 屋根付き展望回廊があり、雨の日でも花を見ることが出来る。 (3)冬季湛水水田(鳥取市小沢見(こぞみ)水田 国道9線沿い位置:134.6.39E/35.31.11N 気高町日光地区の水田位置:134.4E/35.30N) 冬季湛水メーリングリストからの抜粋:鳥取市に入ってすぐの小沢見(こぞみ)の9号線そ ばの湛水水田にコハクチョウほか、マガモやコガモ、オナガガモ、ヒドリガモが飛来、 小さな場所だが冬季の湛水によってすばらしい環境が創造されている。冬場田んぼに塩 水が入らないように海辺の堰を止めることによって、雨水が溜まって湛水され、故意に やっているわけではなく、長い歴史があるようだ。 ◆宿泊場所 日吉津村 海浜運動公園[バンガロー] (鳥取県西伯郡日吉津村日吉津1864-1 TEL:0859-27-7390/FAX:0859-27-7390) 川を挟んで皆生温泉の隣、5時半までに管理棟へ、キッチン・バストイレ・暖房あり、 各自寝袋、食器持参のこと。2棟あり、収容人数20名。
9:00、コウノトリの郷公園駐車場集合し、高橋・大槻の両CR-Vに荷物を積み込む。バンガローで宿泊ということで、市民研究所自慢の調理道具類やツーバーナーを積み込む。実は僕は風邪を引き、おそらくインフルエンザだと思うのだが、声が出にくく、咳も止まらない。それで風邪気味の人と健常者とに分乗してはどうかと提案した。 高橋車に、上田、鳴海、谷上。大槻車に菅村、浜田、稲葉と分乗。菅村さんはマスクをしていたが、これは感染予防のためであって、別に風邪を引いているわけではなく、大槻さんも小学校でいつも風邪のウィルスにはさらされているので、別に風邪を引いているわけではないようであり、さらに浜田館長に至ってはまったく健康体であり、要するにみんな風邪を引いている僕からの感染の危険を冒しながらも、おおらかに同乗してくれていたのである。心から感謝いたします。
9:20ごろから結団式を行い、上田代表の挨拶、浜田館長のお言葉、佐田さんからの激励の言葉をいただき、西川さん、雑賀さんの盛大な見送りを受けながら我々は出発した。水鳥公園へ行ったことのある高橋車の先導により、一路鳥取県へ向かったのであるが、行きは海沿いではなく、八鹿から9号線を通って行こうということになった。しかし運悪く9号線沿いの民家で火事があり、関宮町に入ったあたりから渋滞に巻き込まれ、我々は出発早々40分ほどのロスをこうむってしまったのである。 11時過ぎに村岡ファームガーデンの道の駅で休憩し、上田さんのFMジャングル出演がちょうどトンネルの中で携帯電話がつながらなくなるのではないかと心配したが、鳴海さんの話によると、きょうびの携帯電話はトンネルの中も平気で、特に9号線という立派な幹線道路である限り、携帯が繋がらないなどということは絶対にないらしい。それはR178の土生トンネルや江野トンネルなどでも実証されているとのことであった。実際には、春来トンネルを越えた時点でFMジャングルの増田さんから電話が鳴り、そのまま出番待ちに入ったが、電波状態が悪くて一度切れてしまい、ちょうど温泉街のあたりで再び携帯が鳴り、そのままオンエアーとなったそうである。FMジャングルは美方郡ではまったく受信できないのが残念であった。 美方郡から鳥取県に入り、鳥取市街を抜けると、9号線沿いに2ヶ所の冬季湛水水田を確認した。冬場に水が張られている水田は珍しいから、少し注意していれば十分に気がつく。2日目の目的地が確認できて一安心。気高町からは海沿いに、広々とした畑地を9号線は抜けていく。たまたま天気が良いだけなのか、燦燦と日は降り注ぎ、菜の花も咲いている。遠くに大山が遠望できる広大な風景。とても同じ山陰とは思えない。浜村温泉、鹿野温泉、羽合温泉、太平記で有名な名和町、船上山などの地名が出てくる。1時ごろに大栄町の道の駅で昼食をとった。1,000円のバイキングにドライバー以外はビールを少し。長芋の揚げ物やとろろ芋がバイキングにあるところがなかなか鳥取県であった。
昼間はコハクチョウは採餌に田んぼへ出ているので、公園内にはあまりいなかったが、カモ類を中心に多数の水鳥がいる。ツクシガモ2羽が目前で観察されたが、非常に珍しいもののようで、鳥の人には嬉しいことのようであった。水鳥公園での様子は、高橋研究員が別途レポートしているのでそれを引用させて頂く。 <引用開始>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【米子水鳥公園】
サンクチュアリーの背景には大山があるが、この素晴らしいシチュエーションを台無しにしているのが湖岸のゴルフ練習場のネットとラジオ電波塔。せっかくの景観なのにもったいないことだ。センター学芸員の神谷さんに案内されて館内を回る。ホールでシベリアでの渡り鳥の繁殖シーンの映像を見たあと、パワーポイントによるプレゼンテーションを受けた。一番興味深かった話は、米子水鳥公園のコハクチョウが1日で日本海を横断してウラジオストクまで飛行するという記録。発信機を着けての追跡調査は説得力があった。
ちなみに、神谷さんによれば、朝は8時ごろから一斉に餌場に向って飛び立つとのこと。現在約1000羽のコハクチョウが水鳥公園をねぐらにしており、朝の飛び立ちの風景を見てみたい気持ちにかられたが、これは今回実現することは無かった。 <引用終了>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 5時前に水鳥公園ネイチャーセンターを後にしたが、4人ほどがなかなか出てこない。やがて鳴海氏の携帯が鳴り、「わしらはもう少しここで鳥の観察をする。今からコハクチョウが戻ってくるから、これからがええとこなんや。あんたら、先にバンガローへ行って飯の準備しといてくれ。」とのお言葉であった。菅村、大槻、鳴海、稲葉の正直な4名は、一足早く日吉津村海浜運動公園へ行き、管理人のおじさんにバンガローを開けてもらい、ジャスコへ買出しに行き、粛々と飯の準備をしたのであった。 今回の視察研修でどこに泊まるかと言うのはひとつの課題であった。皆生温泉に泊まり、ぱあーとやるか、米子のシティホテルに泊まり街に繰り出して、ぱあーとやるか、かなり検討されたが、結局寝袋を持っていって、バンガローということになったのだ。日吉津村は米子市に隣接し、日野川をはさんで皆生温泉の隣、人口3千人ほどで、面積が400ヘクタール程度の非常に小さな村である。合併もせず何でこんな小さい村なのか、あくる日の朝に管理人のおっちゃんに聞いてた王子製紙の工場があり、税収の7割方はそこからはいてくるらしく、要するに王子製紙のおかげで豊かな村だから何も合併する必要がなかったのであろう。さすがに平成の大合併の話は出ているようで、今日も説明会があるのだとか。
やがて鳴海さんの知り合いのお二人を迎え、今後の市民研究所のあり方、コウノトリの野生復帰の進め方などを熱く語りながら、時には、谷上さんから生体におけるチタン効果の体験実習の指導を受けたりしながら、有意義な懇親会をスレンダーでアクセスに過ごしたのだ。このあたり、僕は酔っ払っていて良く覚えていないので、必要があれば他の参加者に詳しく聞いてほしい。
米子道に乗り、溝口インターを経て「とっとり花回廊」へ。山を開発して、中央に設置された大規模な温室、円形に園内を周遊する屋根付の廊下(これがあるので回廊と名づけているようだ)、回廊沿いの東西南北4箇所に設置された展示室やレストラン、土産物屋、これら全体を包むように整備された庭園(雪に埋もれてほとんど花は見られなかったが)。この施設とアクセス道路の整備などでおそらく数百億の事業であったろう、まさしく20世紀末の典型的なテーマパーク公共事業という感じだ。都合の良い来場者予測で整備し、現在は予定通りの客が来ず、県か公園協会か知らないが、しんどい運営を余儀なくされているのではないだろうか。
少し遅いリッチな昼食を終えて、2時過ぎに東伯町を出発。最終で最大の目的地といえる冬季湛水水田へ向かった。一つ目の冬季湛水水田では約80羽のコハクチョウを見ることができ、たいへん良いものを見せてもらったと思う。これについても、高橋研究員のレポートを引用させていただく。 <引用開始>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【冬季湛水水田】
従来の稲作のスタイルを変えるこの動きに対し、コウノトリ市民研究所でも休耕田を利用した田んぼビオトープという形で検証中である。全国のあちこちで冬季湛水の試みも進んでいる。鳥取のR9沿いにその現場があり、視察団はそれを観察してこようというのである。言ってみれば今回の視察旅行の最大目的がこれであり、もう旅も終わりが近いのだが、本来のメインイベントなのだった。
80羽ほどのコハクチョウが、家族単位で集まって餌を食べたり羽繕いしたりしている。美しい風景だ。コガモ、ヒドリガモ、マガモなど、カモ類の姿も多い。双眼鏡で観察すると、ちょっと珍しいハシビロガモも見つけた。北にR9、南にJR山陰線に挟まれた一画であったが、車や時々通過する列車に驚く様子もなく水鳥たちは静かに暮らしている様子。彼らの脅威は、こうして唐突に登場する物見高い観察者の姿だろう。
昔から、意図せず冬には水没してしまう田んぼがあった。そんな環境を好んで水鳥たちがやって来た。圃場整備が進む中でこのような田圃は次第に姿を消し、人は水鳥の環境を潰してきた。今、整備の進んだ田圃に再び水を張ることが、農家の人たちにとって容認できることなのだろうか。「環境」という印籠は、農家と農家を包含する地域への利益還元という形で渡されなければならない。試行錯誤の中、新しい農業のあり方が模索されている。 <引用終了>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3時半ごろ、最終目的の冬季湛水水田で予想以上の成果というか情報を得て、たいへん満足した我々は、何も思い残すことはなく帰路へと就いた。鳥取からスキー帰りの混雑を避け海沿いのR178に入る。東浜では昔は集落内を国道が通っていたが、いつの間にかバイパスができている。高校、大学と3回訪れた事のある東浜の海岸を懐かしく見下ろしながら、県境の難所を通過し、居組、諸寄、浜坂と、ここまでくれば帰ってきたなあという感じ。余部鉄橋の下で小休止し、森本のトンネルでは鳴海さんが力説していたにもかかわらず携帯が繋がらないことを確認し、予定より1時間半遅れの5時半にコウノトリの郷公園に無事帰還。荷物を片付け、永田さんに美味しいコーヒーを入れていただき、「来年はシベリアに行こう」などと言いながら、我々の視察研修は終了した。 今回の視察研修は、市民研究所としては昨年に引き続き2回目。水鳥公園や、冬季湛水水田を視察したことは、コウノトリの野生復帰を市民の立場から支援するコウノトリ市民研究所にとって、活動の今後に直結する内容であった。また、参加者の親睦を深めるとともに、対応していただいた米子水鳥公園の神谷さんや日吉津村海浜運動公園で出会った地元の方々との交流、地域の食文化の体験等、非常に意義深いものであった。
また、今回の視察研修はサントリー世界愛鳥基金から旅費の助成を得て実現した。
終わり
(文責:稲葉一明/構成:高橋 信)
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