タンポポノート    


○セイヨウタンポポ
鮮やかな黄色のタンポポの多くはセイヨウタンポポだ。田んぼの畦や家の周りはほとんどこのタンポポだといって良い。セイヨウタンポポによく似たアカミタンポポは種子が赤茶色で区別できる。これも外来種だ。

  
                       
さらに最近は在来種との雑種がかなりあるらしい。こんなのは明らかに雑種らしい。総包外片が中途半端に反っている。セイヨウタンポポの多くは、雑種なのだそうだ。

 



豊岡盆地に在来種はどれくらいあるのだろう。教科書には書かれているが、実際に在来種を野外で見つけたのは数年前の春。伊賀谷で初めて見つけたときは、これがカンサイタンポポかと、ほんとうに感動した。ところが、その後の調査で、カンサイタンポポは豊岡盆地では限られたところにしかなく、伊賀谷の個体も含めてあとはみな倍数体タンポポというものらしいことがわかった。関西はカンサイタンポポ、関東はカントウタンポポと教科書でならったのに、まったくわけがわからなくなった。

その後、この倍数体タンポポは奈佐谷、玄武洞、城崎など、よく見ると各地に分布していることがわかった。しかも、いろいろなタイプ・種があり興味深い分布をしているらしい。但馬の各地で見つけたら写真と標本を採っておきたい。

この、倍数体タンポポのうち、花がレモンイエローで車の窓からでも区別できるタイプをヤマザトタンポポ、実際に手にとって確かめないとセイヨウタンポポと区別できないタイプをクシバタンポポと、いまのところしておきたいが、実際にはまだいくつかあるし、今後の研究でどうなるかわからないらしい。
○ヤマザトタンポポ
花の色は明らかに薄い。レモンイエローだ。車の窓から見ても区別が付く。




花はかなり大きくなるが、中には小さな個体もある。

 

 
総包外片の形はかなりばらつきがある。いくつかの種を含んでいる可能性もあるらしい。
○クシバタンポポ
 



花の色は鮮やかな黄色。セイヨウタンポポと間違う。葉は切れ込みが深いが変異がある。ここには典型的な写真はない。
総包外片はピッタリとくっつく傾向にある。





クシバタンポポの大群落。いろいろな変異がある可能性がある。少し違うかもしれない。

○カンサイタンポポ

いよいよカンサイタンポポだが、豊岡盆地では限られたところにしかない。明らかに花は小さい。色は薄くレモンイエロー。ヤマザトタンポポの小さな個体と紛らわしいことがあるが、生育している状況、群落全体をみるとまず間違えないだろう。



 

 
○シロバナタンポポ

 

これも在来種で倍数体。あちこちに群生している。
カンサイタンポポとその他の在来種の花粉
 豊岡盆地の在来タンポポであるカンサイタンポポは限られた場所にしかない。その他の在来種は広く分布する。その区別はかなり難しい。カンサイタンポポは2倍体であり、普通に受粉して種子をつける。それに対して、ヤマザトタンポポなどは倍数体で、単為生殖をしている。そして、不完全な花粉ができることが多く、大きさが不揃いとなるらしい。写真左はカンサイタンポポと思われる個体の花粉であり、大きさがそろっている。それに対して右の倍数体タンポポの花粉は、大きなものに中に小さな花粉が混じっている。これは減数分裂が不ぞろいになるためである。