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ヒガンバナ  No.58




       
ヒガンバナ ヒガンバナ科 04/01/13 掲載
 
 毎年ほぼ彼岸に花を咲かせるヒガンバナが、昨年はおよそ1週間
〜10日遅れて咲いた。昨年の遅れは冷夏の影響なのだろう。
 これまで市民研は花の時期に調査を行ってきた。しかし花期は短
くこの調査のタイミングは難しい。
 
 ヒガンバナは花が終わるとすぐに写真のような葉を出す。他の草
に邪魔されず太陽の光を独り占めしようという作戦である。葉は冬
枯れの中、緑鮮やかでよく目立つ。
 
 冬季に目立つ葉は調査の上でも都合がよい。初冬から長く調査が
でき、群落の規模がすぐに分かるし、小さなものも見逃さない。さ
らに花の時期に同じ場所を訪れるとその場所の人の管理の仕方もよ
く分かる。
 
 ヒガンバナが生えるのは、重機を使うような大規模な改変を受け
ることなく、定期的に草刈りがされ続けている場所である。そこに
は、ヒガンバナだけでなく昔から日本で暮らしている動植物たちが
生き残っていることが多い。
 
 
追記

 ヒガンバナの開花時期は、地中で花芽ができる時の地温で決まる
らしい。地温はもちろん気温で決まるので、暖かい年には早く咲き、
寒い年には遅く咲くことになる。地温というのは気温ほど急激に変
わらないし、変化も小さい。だから広い地域でヒガンバナは一斉に
咲くのかなと思う。
 
 ヒガンバナ調査は、誰でもできる。そこがいい。市民研究所が行
うのもそこに意味がある。第1回の豊岡市コウノトリ感謝祭では、
身近な生き物のミニ講座をしたのだが、そこでこのヒガンバナ調査
の話もした。午前の部のお客さんは数人、その中に市長夫妻の姿が
あった。面白かったと言ってもらったが、これはどの生き物のこと
だったのだろうか?午後もやはり数人。救荒食に使われたと話すと
その中の方に、丹波では50〜60年前に実際に使っていたとうか
がって、遠い歴史上の話ではないのだなと思ったのを覚えている。
 
 花が終わってすぐに出てきた葉は、4月になると枯れていく。だ
から冬の間に地図に落としておかないとすぐに分からなくなる。
 
 冬に場所を確認して秋に調査するといろいろなことが分かる。ヒ
ガンバナが咲く舞台を作るかのように花茎が地面から頭を出す直前
に草刈りをする農家、時期には全く無頓着に草刈りをする農家、草
刈りをすることもなく放置する農家、様々な人がいることが分かる。
 
 堤防を草刈りする国土交通省ももう少し時期を考えてくれたら美
しくなるのになあと思うこともある。もっとも国土交通省の立場に
なるとヒガンバナの存在は微妙である。
 
○ヒガンバナはモグラを近づけないので堤防に穴が空きにくい。
 →役に立つ
○ヒガンバナが枯れると球根の場所に大きな空洞ができて堤防に傷が入る。
 →害がある
 
 本当のところはどっちなのだろうかと私は悩んでいる。
 
 ある斜面にヒガンバナがたくさん咲く。そこは春には在来のタンポポ
(おそらくはケンサキタンポポ)が咲く。オグルマも残っている。他で
は少なくなった日本在来の希少種が健在である。
 
 
 

at: 2004/01/15(Thu)



稲葉  2004/01/27(Tue)/21:34:46   No.59
この記事を読んで、出張のときの列車の中から田んぼの畔を見ると、沢山生えていますね。驚きました。夏場は全然分からないけれど、今は良くわかりますね。


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