但馬の植物 一覧

4月の山菜

今日は4月23日、山菜シーズン真っ只中である。
すでに平地では時期遅れもあるが、標高が高くなればまだまだこれから。
ほんの一部であるがざっと紹介する。
まずはウコギ科の御三家
コシアブラ

タカノツメ

タラ


どれも美味しい。
さっと茹でたコシアブラとタカノツメ、お好みのドレッシングでどうぞ。
右がタカノツメで、左の方がコシアブラ

焼きタラノメ、天ぷらもおいしいが、茹でや焼きの方が素材の味がストレートで美味しいと思う。

次は、コゴミ。ちょっと遅いが高地ならまだまだいける。

クレソン、外来種だが各地に定着。買うとバカみたいに高い。

添え物に使われるが、おひたしがとても美味しい。

クズの芽、から揚げが美味しい。毛はまったく気にならない。

ユキノシタ。その辺にあるところには大量にある。

ヨモギ、ヨモギもちはもちろん、味が強いので天ぷらでどうぞ。

サワオグルマ、ちょっと通なところで。これも天ぷらで。

他にも、カラスノエンドウ、アケビツル、カキの新葉、ミツバ、アサツキ、ノビル、、、、春は美味しいものがたくさんありますね。


豊作のブナ


昨年(平成21年)4月にブナの開花について報告したが、昨秋は予想通りブナが大豊作であった。来日山頂付近のブナ林。9月21日である。
小さなイガの中に2~3粒ほどの実が入っている。

シバグリやシイの実を小さくしたような感じで、渋みはなく殻を割ってそのまま食べることも出来る。


豊作の年は大量に実が付くので、クマなどの大型獣にとっても貴重な栄養源になるようだ。

ブナというとかなり標高が高いところにあるので、簡単には見られないように思われるかもしれないが、林道整備で今では車で簡単に見ることが出来る。

 兵庫県の調査でも昨秋はブナ、ミズナラ、コナラが大豊作という結果が出ている。
http://www.wmi-hyogo.jp/tyuui/tyuui09_2.pdf
 確かにコナラなどのドングリ類も豊作で、山を歩くとドングリがざくざく状態のところが沢山あった。10月に有害捕獲されたシカの胃の中を見る機会に恵まれたが、ドングリが沢山入っていた。写真は10月11日、豊岡市内の里山。

 液果類も豊作だったように思う。

これはヤマホウシ、大粒でおいしかったです。

 これは10月12日、別の場所のヤマナシ。私が見た数本なのでサンプル数は少ないですが、みんな良く実が付いていました。 やはり昨秋はクマの出没が少なかったですね。


アベマキのドングリ

コウノトリの郷公園でアベマキのドングリをたくさん拾いました。あまり落ちていないので、大収穫でした。

アベマキのドングリはどうしてあんなに大きくてもじゃもじゃの帽子をかぶっているのか、今日答がわかりました。あれはきっと隠れ蓑です。帽子ごと落ちてドングリを隠します。そして、その下で根をだします。帽子から出てしまったドングリは、よく目立つので、すぐに見つかって食べられてしまいます。ただし、リスに運ばれて、忘れられたものが芽を出すというのもありましたね。

大きな帽子で隠れています。

裏返すとしっかりと根が出ています。隠れ蓑説、どうでしょうか。


ブナの開花とツキノワグマの関係


ブナは実をたくさん付ける豊作の年と、ほとんどあるいは全く実を付けない凶作の年がある。春にほとんど花を咲かせない年はもちろん凶作になる。
ブナの豊凶は近畿、西日本あるいは全国的に同調する傾向がある。全国的に豊作とか、全国的に不作とかになる。
ブナの実は、ツキノワグマが越冬に備えての秋の重要な食料になる。だからブナが不作の年にはクマがたくさん人里に下りて来て、カキなどを食べる傾向がある。
兵庫県の場合は、コナラなどのドングリの豊凶もクマの出没に大きく影響するが、氷ノ山山系ではブナ林もそれなりに広大で影響は大きい。
平成17年にブナが大豊作であったが、その後18,19,20年とブナの凶作が続いた。ほとんどあるいは全くといってよいほど実が付かなかった。その間、ブナの木は実を付けなかった分、栄養を温存している。ブナの実を食べる虫たちは、ここ数年ブナが凶作のため数を減らしている。ネズミなどの採食者も不作が影響して数を減らしている。ブナは4,5年に一度大豊作になり、あとは凶作というパターンが多い。数年の凶作のあとにいっせいに実を着けて大豊作になると子孫を残すのに有利なのだ。採食者が食べきれないのである。毎年同じぐらい実を付けていると、実を全部食べられてしまうのだが、広域的にブナが豊凶を同調させることでそれを防いでいるのだ。
長々中途半端な説明をしてきたが、つまり今年は豊作になる可能性が高いとういことだ。
で、先週日曜日と、本日、ブナの開花を見てきた。

4月12日、三川山のカタクリの花を見に行ったのであるが、標高450mほどのところからブナ林が出現する。多くのブナがぎっしりと花を咲かせていた。

4 月18日、蘇武の林道沿い800~900mぐらいに見られるブナ林、やはり開花が始まっている。ついに今年は盛大に花を咲かせたのである。数年間花をほとんど咲かさずに凶作をつづけた後に花を咲かせるとその秋は台風などの気象的な影響がなければ豊作になる。つまり今年の秋はブナが豊作になる可能性が高い。ということは、ツキノワグマが里へ降りてくる数も少なくなる可能性が高いのだ。


昨年の秋は、但東や出石を中心に全県的にクマが大量に出没したが、今年はどうなるであろうか、氷ノ山方面と比べると、床ノ尾山系はブナの数が少ない。今年の但東や出石のクマの出具合はどうなるのであろうか。
*ブナやどんぐりの豊凶とクマの出没との関係は、兵庫県のツキノワグマ保護管理計画にデータ等が掲載されています。
http://web.pref.hyogo.lg.jp/contents/000123055.pdf

おまけ、カタクリの花


スミレが咲く

昼休み、歩いて食事に出かけた。街の中でスミレをみつけた。歩くと良いこともある。多分コスミレだと思う。花の色が薄い、葉が少し丸いなどの特徴は、ヒメスミレやノジスミレではない。花期が早いことや花の数が多い傾向もコスミレの特徴だ。



野菊

今回はもう少し秋らしい話題。
野菊にヨメナを入れてもよいのだろうか、それともシマカンギクやリュウノウギクをさすのだろうか。後者の方がいわいゆる菊の仲間なんだろうが、ヨメナやノコンギクの方がなじみがある。

田んぼの畦のあちこちにヨメナが咲いている。

ノコンギクは田んぼには少ない。海岸や川岸、丘陵地で見かける事が多い。


カタクリ


希少な植物の自生地は公言されないことが多い。ましてやそれが可憐な花をつけるとなればなおさらである。ラン科の植物は野生植物の中で最も不運な存在で、場所が知られるとあっというまに盗掘されて自然界から姿を消してしまう。野の花を掘り取って自宅の庭なり鉢なりに育てて楽しむ人の気持ちは分からなくもないが、野の花は野にあってこそ美しいとは思わないか。
カタクリは里山の代表的な植物で、かつてはどこにでもあった。その根からとった良質な澱粉が片栗粉であるが、今では片栗の名前だけ残って粉は馬鈴薯から作られる。めっきり自生地が減少してしまったカタクリは、もっぱら山野草ファンの花鑑賞の対象となっている。
但馬の代表的なカタクリ自生地として知られる三川山(標高888m)にも、花期になると人が集まる。ただし大規模な自生地は標高500mの中腹に位置し、そこに到るには厳しい山道を辿らねばならないので、ここのカタクリは山歩きを趣味にする人たちにもっぱら愛されている。自生地はまったくの自然の状態であり、常に自然の撹乱を受けつづけている。それは雪崩であったり、山崩れであったり、毎年少しずつ地形を変えながら、そのたびに押し流された土砂がカタクリの植生分布を広げてきた。
数年前、ここで大規模な盗掘事件があったという。素人レベルの仕事ではなく、業者が商売のためにカタクリの株をごっそり持って帰ったという噂だった。かなり深刻な状況として話が伝わってきたので心配したが、翌年には何事もなかったかのように沢山の花を咲かせて安心した。
カタクリの花は、うつむきかげんの薄桃色の花弁のしおらしさと、剥き出しのシベの生々しさと、そのアンバランスが同居した美しさが魅力だ。カタクリは森の眠りを呼び覚まし、その短い花の時期を虫たちに捧げて実をつける。その実が土に落ちて花を咲かせるまで7年かかるという。そう思えば、この花の愛しさもまた募るというものだ。
ユリ科カタクリ属 多年草 Erythronium japonicum
撮影:2005/4/16 三川山


サンインネコノメ


自分のBlogにも情報を載せたが、こちらでも情報提供してこの植物の認知を広めようと思う。
写真は日高町阿瀬渓谷で撮影したサンインネコノメ。今までホクリクネコノメと認識していた種である。専門家の調査でホクリクネコノメの品種のひとつとして1995年にサンインネコノメの和名で新種登録された。
学名はChrysosplenium fauriae Franch f.ferruginiflorum Wakab.et H.Ohba、関宮町大久保のタイプ標本がここに収録されている。
写真で示すとおり、萼(がく)裂片の色が薄茶色であることが、この部分が薄緑色のホクリクネコノメとの識別ポイントとなる。サンインネコノメの分布がどこまで広がっているのか気になるところである。今後山を歩くことがあれば、湿地でサンインネコノメを探してみて欲しい。

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