但馬のキノコ 一覧

シロオニタケ


シロオニタケ (ハラタケ目テングタケ科テングタケ属)
Amanita virgineoides Bas
(白鬼茸)
夏から秋にかけて、広葉樹林の地上によく見られる。
大型のキノコ。傘、柄にいぼいぼが沢山あり、特徴的である。つばはマント型で大きく脱落しやすい。つぼは見られず、いぼいぼ状の鱗片となって付着している。幼菌のときはこけしのような形をしているが、いぼいぼが鬼の角のようであるといわれるとそう見えないこともない。かさが半球形からやがて水平に開く。

猛毒菌の多いテングタケ科テングタケ属のキノコであるが、毒成分ははっきりしていないようだ。昔の図鑑では食毒不明とされているものもあるし、おそらく無毒菌であろうとか、湯でこぼせば食べられるという説もあるとか、かなりいい加減なことが書いてある。

「日本の毒きのこ」(学研)によると、毒成分は不明で胃腸系及び神経系の中毒を起こすとなっている。テングタケ属の白色ということで、ドクツルタケなど致命的キノコと近縁なこともあり、絶対に食べないほうが良いが、これだけ生えているのだから、致命的な毒菌であれば必ず犠牲者が記録に残ると思うので、おそらく、それほど深刻なキノコではないのではないかと思われる。

白鬼茸:白い鬼の角のようないぼを着けたきのこ
豊岡市では里山、広葉樹林で普通に見られる。


エノキタケ


エノキタケ
キシメジ科エノキタケ属(Flammulia velutipes(Curt.:Fr.)Sing.)
我が家の庭のクルミの木が大きくなって厄介なので、ばっさり切ってしまったら、切り株がだんだん朽ちてきた。1年目の冬、よく分からないキノコが生えてきた。2年目の今年、こいつが生えてきた。最初見たときツキヨタケを連想したが、時期と香りでエノキタケと気がついた。

栽培きのこも沢山あるが、野生種と販売されているのとがまったく違うキノコの代表がこのエノキタケであろう。
もやし栽培のものと似ても似つかない野生エノキタケ。大きい。
香りが、もやしエノキと同じであるので、同一種であることが理解できる。

真冬に雪の中でも徐々に成長する。外見的にはあまり特徴のないきのこといえると思うが、この時期生えているキノコはないから、間違いにくい。
柄が黒い。ぬめりがある。傘は8センチぐらいにまで大きくなる。
味、歯ごたえ、ぬめり食感、良好である。
真冬に庭に生えてきてこれだけおいしいのであるから、非常に優れた食菌である。

栽培ものも、もやしにせずに普通に大きくしてもよいように思うのだが、、、


セイタカイグチ


セイタカイグチ (ハラタケ目オニイグチ科キクバナイグチ属)
Boletellus russellii(Frost) Gilb
(背高猪口)
 広葉樹林、アカマツ・コナラ林などの地上に発生する。
 イグチの仲間だから傘の裏はヒダではなく細かい泡網目状になっている。柄に疎荒な網目状の隆起があり、赤褐色の地に白い網目状の隆起が特徴的である。
 9月上旬いろいろなキノコが沢山出ている中で一本だけで単生していた。まだ小さかったので、あくる日にもう一度行ってちょうど採りごろであった。夏の終わりのきのこだから、成長が早く少し遅れると虫も入りやすい。
 初めて食べてみた。一緒に採ったミキイロウスタケ(後ろに写っているきのこ)やベニウスタケと共にさっと湯がいてポン酢で食す。
 歯ごたえがしっかりしていて歯切れよく、適度にぬめりもあり、香りもきのこ臭が心地よい。非常に優れた食菌だと思う。
 実はこのきのこ、以前よりずっと食用とされており、古い図鑑ならどれも食用と記載されていたが、近年中毒事例があったようで、学研フィールドベスト図鑑「日本の毒きのこ」(2003年10月)には毒成分不明のまま毒きのことして記載されている。よく似た紛らわしいきのこはない。
背高猪口:背の高いイグチ
平成20年9月7日
豊岡市出石町の法沢山の登山道で


カニノツメ


カニノツメ スッポンタケ目 アカカゴタケ科
Linderia bicolumnata (Lioyd) Cunn.
 コウノトリの郷公園のSさんから、見たこともないキノコが生えていると、教えてもらいました。
 炭焼き小屋の前のコケの中からそれは生えていました。これはスッポンタケの仲間のサンコタケかなと思いましたが、サンコタケは柄が3本なのにこれは2本しかありません。
 このキノコ、特に左側のやつ、何かに似ていると思いませんか?。カニノツメにそっくりです。
 
 図鑑でしか見たことがなかったのですが、カニノツメというキノコがあるのを思い出しました。調べてみると、正しくカニノツメでした。
 つめの先についている黒いものが、胞子の入っているグレバと呼ばれるものですが、これが悪臭を放って虫を呼んで胞子を運ばせるそうです。
 このキノコの仲間には面白い名前がいっぱいあります。スッポンタケ、イカタケ、カゴタケ、アンドンタケ、キツネノエフデ、、、面白いでしょ?、みんな形が似ているんです。
 カニノツメは、それほど珍しいキノコではないようです。


カエンタケ


カエンタケ
(ニクザキン目ニクザキン科ポドストラマ属)
Podostoloma cornu-damae Boedijin
(火炎茸)
 広葉樹林の地上に群生あるいは単生する。
 やや稀らしい。猛毒で死亡例がある。欧と、下痢、頭痛、発熱、しびれ、運動障害、意識障害、脱毛など思いつく限りの症状が出るらしい。
 ニクザキン目(肉座菌目)というちょっとなじみの少ないグループのきのこである。
 写真のものはあまり大きくないが、もっと伸びるとまるで炎が立ち上がっているように見えるからこの名前がついたのであろう。
 毒々しい色と硬くしっかりしているので普通は食べる気にはならないのだが、結構中毒例があるようである。あえて言うと食用のベニナギナタタケに似ているが、こちらはしなやかで柔らかい。
 毒性も火炎のように激しい。但馬にも生息していました。
火炎茸:火炎のようなきのこ
平成19年10月7日
養父市氷ノ山ホードー杉の近く


オキナクサハツ


オキナクサハツ  ハラタケ目ベニタケ科ベニタケ属
(翁臭初)
Russula senecis Imai
夏から秋にかけて広葉樹林に出る。傘にはしわがあり、翁(おきな)の名が付いている。ハツタケの仲間で悪臭がするのでクサハツ。よってオキナクサハツ。しかし、悪臭がするかどうかは、系統によって差も大きいようだ。
傘が開くと表面の褐色の薄膜が裂けて、独特の面白い模様になる場合が多いようで、このあたりで分かり安い。

味は辛く、有毒であるが深刻ではなく、清水大典氏の図鑑では不食となっている。辛くて美味しくないのだ。
翁臭初
翁 おきな おじいさん
臭 くさい、においがする
初 初めて ハツタケ
平成18年7月22日 豊岡市妙楽寺


ハナビラニカワタケ


ハナビラニカワタケ(ヒダナシタケ目シロキクラゲ科シロキクラゲ属)
(花弁膠茸)
Tremella foliacea Pers.:Fr.
コナラの幹から肌色のビラビラが大量に生えている。ハナビラニカワタケである。これだけ沢山生えているのははじめてみた。
キクラゲの仲間だが結構目立つ色だ。やわらかくてビラビラの糜爛状、乾燥すると小さく硬くなる。
 以前、複数のキノコといっしょに佃煮にしたことがあるが、キクラゲのような歯ごたえは無く、ゼラチン状に半分溶けたようになってしまった。良い出汁が出るので汁物と相性が良いという。さっと湯に通して和え物や酢の物もいいらしい。写真のものについては、少し老菌であったので、観察だけにとどめた。
花弁:はなびら
膠:にかわ、獣や魚の皮・骨などを水で煮沸し、その溶液からコラーゲンやゼラチンなどを抽出し、濃縮・冷却し凝固させたもの。接着剤・写真乳剤・染色などに用いる。
茸:きのこ
平成17年11月6日 豊岡市妙楽寺


ニセクロハツ


ニセクロハツ  ハラタケ目ベニタケ科ベニタケ属
(偽黒初)
Russula subnigricans Hongo
 猛毒菌である。食菌のクロハツやクロハツモドキと良く似ており、外見では区別が付かない。しかし傷つけるとクロハツやクロハツモドキは赤変しやがて黒色となるが、ニセクロハツは赤くなるが黒変しない。豊岡の里山にもクロハツに似たキノコが見られるが、赤変で止まり黒くならないものが多い。写真のキノコも猛毒のニセクロハツと同定した。最近の図鑑では、クロハツやクロハツモドキも毒菌とされているものもある。
 食後数十分と早い時期から嘔吐、下痢、言語障害、尿の赤変、心臓衰弱、意識不明から2~3日後に死亡。早い時期から症状が出るのは深刻な事態に陥らないと言われるが、このキノコの場合はそうではない。
夏から秋に広葉樹林に発生。地味なキノコである。乳の出ないベニタケ科の黒いキノコは食べないこと。
偽黒初 偽の黒初(黒い初茸)
平成18年10月9日 豊岡市妙楽寺

傷付けると赤変するが黒くならない。


チシオタケ


2006.9.30 豊岡市三開山
チシオタケ ハラタケ目 キシメジ科 クギタケ属
Mycena haematopoda(Pers.:Fr.)Kummer
血潮茸
 三開山は良い里山で沢山キノコが出ているという。新たなフィールドに加えようと三開山に登ってみた。竹やぶのところできれいな小さなキノコが目にとまった。これはサクラタケだなあと思い、写真を撮ることにしたのであるが、一本ちぎってみると茎から濃いワイン色の液が出てきた。ありゃ、これがチシオタケか、、、。
 チシオタケを採るのははじめてである。小さなきれいなキノコで、傷をつけると血がほとばしるように出てくるという。本当にそんな感じである。ただ、その液は、動脈血ほど鮮やかではなく静脈血よりも美しい濃いワイン色である。
 ほぼ世界的に発生するキノコらしい。広葉樹の朽木や切り株に発生。ちなみに間違えかけたサクラタケも同じクギタケ属である。
 食べようとかは思わないキノコであるが、無毒らしい。
 血潮:潮のようにほとばしり出る血。「―に染まる」2 体内を潮のように流れる血。激しい情熱や感情。「熱き青春の―」

傷つけると血がほとばしる。 痛そう。


ヒラタケ


ヒラタケ ハラタケ目ヒラタケ科ヒラタケ属
(平茸)
Pleurotus ostreatus (Jacq.:Fr.) Kummer
(カンタケ 寒茸)
 2月にはいって暖かくなり、雪もほとんど溶けた。久しぶりに豊岡市妙楽寺のフィールドにキノコを見に出掛けてみると、山にはまだところどころに雪が残っていて歩きにくい。
 巨大なヒラタケを発見。寒中、じわじわと大きくなって、まさしくカンタケの名にふさわしい。やや老熟しているが、そこは冬場のキノコのうれしいところで虫が付いていない。わずかに小さなヤスデに食われたあとがある程度。
 てんぷらにしたり、鍋に入れたり、しっかりした歯ごたえと好ましいキノコ臭。分かってもらえないと思うが、少しマツタケに近い香りもする。
 ヒラタケは外見的に変異も多く、栽培物とはかなり違う印象を受ける場合が普通。灰色系統の色と、シイタケやツキヨタケとの違いを確認する(詳細説明省略)。この時期はすでにほだぎ栽培のしいたけが出始めている。シイタケと良く似ている場合があるが、色、香りが違う。ヒラタケは大量に採れる場合も多い。春にも秋にも冬にも出る。
平茸 平らなきのこ
寒茸 寒い時期のキノコ(しかし暖かい時期も出る。)
2月25日 豊岡市妙楽寺


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