平成29年度第6回・高校生によるラムサール湿地の生物モニタリング調査(実施報告)

日時:2017年12月16日9時30分~14時45分
場所:加陽水辺公園交流館→大師山→(交流館で昼食)→五条大橋西詰~円山川右岸堤防→交流館
参加者:高校生12名、引率教員2名、事務局3名
講師:高橋

但馬県民局主催の、高校生によるラムサール湿地の生物調査の冬鳥観察編の講師として出向きました。これまでは戸島湿地管理棟を拠点にしてきましたが、今回は新しくオープンした豊岡市立加陽水辺公園交流館を拠点に、山辺の鳥、田んぼの鳥、水辺の鳥を観察することを目的としました。交流館は、本目的には格好のロケーションとなっており、すでに何度かの野鳥観察会の拠点として利用しています。

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天気が下り坂に向かっているので、晴れているうちに山を歩こうと、事前のレクチャーを省略してさっそく山に入ります。中山神社の参道から防獣フェンスのゲートをあけて尾根道に取り付きます。ヒヨドリ、カラ類、ルリビタキの声を聞きながら、しばらく急登を行きます。

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山中は鳥影が薄く、メジロやアトリをチェックしたくらい。冬の時期は、山から鳥が平地に下りていることを実感することも、今回の観察会では学びます。ほとんど人が入っていない山道を南下し、大師山自然公園に下山。ソメイヨシノ林からウソの声が聞こえました。

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山から下りて、田んぼ道を交流会に向かいます。写真は、田んぼから飛び出したイカルチドリを観察している場面。畦道に新しく撒かれた白いバラスの上でうずくまるイカルチドリは、見事なカムフラージュぶりを見せ、彼らの繁殖が河原の丸石河原で行われる理由も説明しました。交流館の手前でノスリを観察。その上空をコウノトリが舞いました。

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交流館で昼食後、午前中の観察種の復習と午後の水鳥観察の予習を、準備したパワーポイントでレクチャーしました。五条大橋西詰から出石川左岸堤防を北に向かいます。天神橋の手前で、カワアイサの群れを観察。白いオスはよく目立ちます。

天神橋から円山川右岸堤防を南下。堤外流域にたくさんのカモが休んでおり、スコープを使ってカモの識別を行いました。多くは普通種でしたが、ヨシガモとトモエガモも数羽、見つけることができました。

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堤防を下りてから、田んぼ道を経由しケリ、タシギなどをチェックしながら交流館へ帰着。朝の晴れ間は消え、終了時には西から黒い雲と冷たい季節風が流れてきました。これからまた雪になる予報が出ています。今回の観察エリアは、来年度に予定されているラムサール湿地の拡張エリアに入っており、高校生諸君には先取りしてその予定エリアの野鳥の状況をチェックしてもらいました。山辺、田んぼ、水辺という野鳥観察3点セットがコンパクトにまとまった加陽水辺公園交流館は、今回の観察会を通しても、その活動拠点としての有益性が実感されました。

【本日観察した野鳥】
▼交流館→中山神社→大師山稜線→大師山自然公園→土渕田んぼ→交流館
ヒヨドリ、エナガ、ルリビタキ、メジロ、トビ、ハシボソガラス、アトリ、ウソ、ハシブトガラス、モズ、アオサギ、イカルチドリ、カワラヒワ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、クサシギ、スズメ、ノスリ、コウノトリ(全18種)

▼交流館→五条大橋西詰→天神橋西詰→円山川右岸堤防→加陽田んぼ→交流館
トビ、ノスリ、ダイサギ、スズメ、カワアイサ、ドバト、マガモ、ハシビロガモ、ヨシガモ、コガモ、カルガモ、ヒドリガモ、トモエガモ、アオサギ、ケリ、タシギ、ツグミ、カワラヒワ、カシラダカ(全19種)