ニホンミツバチ


ニホンミツバチ  
ハチ目ミツバチ科
 我が家の庭では春一番にサクランボの花が咲く。暖地桜桃という品種で花はとても美しく結実が良い。今年の開花は例年より1週間ほど遅かった。
 この花が咲くとミツバチがやってくる。どのように察知するのかは知らないが必ずやって来る。ミツバチというと黄色と黒の縞模様を思い出すが、我が家に来るやつは黄色が穏やかでむしろ白色である。在来種のニホンミツバチだ。小さくてかわいらしい。
 サクランボの花にもぐり込むように体を突っ込んで蜜を吸う。おしべを掻き分け、ミツバチの体中が花粉だらけになる。花の中央にはめしべが突っ立っているのであるが、ミツバチが動き回るので花粉がどうしてもくっついてしまうのだ。このおかげでうちの庭のサクランボも首尾よく結実するということらしい。
 よく見ていると、めしべに爪先を引っ掛けて腕一本でぶら下がり、何やらせわしなく動いている。体にくっついた花粉を足でこそぎ集めて後ろ足の花粉袋に詰め込んでいるようだ。巣に持って帰って花粉団子として幼虫とかの餌にするつもりなのだ。
 夢中で蜜や花粉を集めている時は、めったに人を刺すことはない。だからミツバチに囲まれながら写真撮影しても平気である。僕のことなどまったく関心がないというということが観察していると良くわかる。
 全国の養蜂家が飼育しているのはセイヨウミツバチのイタリアンという品種がほとんどで、それは腹部がはっきりとした黄色である。外来のセイヨウミツバチに押され、ニホンミツバチも減少の一途をたどっていたが、近年は都市周辺で増加に転じているようである。
NPO法人コウノトリ市民研究所 
主任研究員 稲葉一明
4月22日掲載