田んぼの学校05/10/9 赤とんぼ調査

「田んぼの学校・アカトンボ調査」
日時:10月9日(日)9:30~コウノピア
コウノトリが空を舞う里地で行うアカトンボ調査なんて、ほんとうに贅沢な調査でし
た。今日は良く飛んでくれたし、人工巣塔にも2羽で仲良く入っていました。鍋はサ
メとカニの組み合わせ。これも贅沢でした。
 
<アカトンボ調査>参加者50名
最初はアカトンボの姿がほとんど見られず心配しました。夜も雨が降っていたような
ので、その影響もあったのでしょうが、日差しがでてからも少なかったですね。コウ
ノトリ文化館のみなさんの情報では数日前からアカトンボの大群がこの谷で見られて
いるとのことで、安心していたのですが、さらに下流の田んぼの方に分散していった
のかも知れません。
 
参加者の方は、スタッフを含めて50人。運動会やいろいろな行事と重なった割には
たくさん来ていただき、今年の調査を実施することができました。文化館の周辺でま
ず採集し、川に沿って東の谷のビオトープへ。そこでしばらく採集し最後は田んぼ道
で採集しました。東の谷のビオトープ周辺は、池や山際の湿地、水路など多様な環境
が形成されていて、アキアカネ、ナツアカネ、ノシメトンボ以外にキトンボ、ネキト
ンボ、マユタテアカネが見られました。田んぼでは、稲刈り後の水がたまったわずか
な場所にアカトンボが集中していました。かつては、田んぼ全面でこのような光景が
見られ、無数のアカトンボが産卵していました。
 
但馬では約15種類のアカトンボが見られますが、アカトンボの種類や個体数で環境
の多様性を感じ取ることができると思います。また、田んぼでは、水田のありようが
アカトンボの種類と数に反映されるので、これも面白いと思います。
<調査結果>
アキアカネ  142匹
ノシメトンボ  38匹
ナツアカネ   25匹
ネキトンボ    2匹
マユタテアカネ  1匹
キトンボ     1匹
合計     209匹
50人(網は30)で調査した割りには採集個体数が少なかった。ノシメトンボの割
合は例年こんなものだろう。ナツアカネの割合も高いが、田んぼ部分ではもっと少な
くなるだろう。キトンボは羽がオレンジ色のとても美しい、赤くならないアカトンボ
で、環境が良好な沼のトンボというイメージがある。ネキトンボは但馬地方ではもと
もと少ないトンボで、近年増えてきたように思う。案外どこにでも現れるトンボのよ
うだ。マユタテアカネは山に行けばたくさんいるが田んぼには出てこない。
 
コウノトリの郷公園の中のビオトープで6種類、池が少ないので種類も少ないのは無
理もないが、このアカトンボ調査でキトンボやネキトンボが見られたのは収穫だった。
アキアカネは水を張った池より、田んぼの稲刈り後のくぼ地の水溜りのようなところ
に産卵している。ノシメトンボは池の干潟部分や水のない田んぼに産卵するというが、
産卵現場をもう少し観察してみたい。
そのほかにアカトンボではないが、オニヤンマ、シオカラトンボ、オオシオカラトン
ボ、イトトンボ類が見られた。
      コウノトリ市民研究所
      主任研究員(昆虫担当)上田尚志 (写真:高橋 信)