カンサイタンポポ:但馬の端っこに生育

カンサイタンポポ キク科


 カンサイタンポポは日本在来の小型のタンポポで、関西以西に普通に生育している。私は京都市で植物の勉強を始めたのだが、京都市にはカンサイタンポポが至る所にあった。だからカンサイタンポポが特別なタンポポであるという思いは全くなかった。
 ところが但馬に帰ってきてタンポポを調べ始めて驚いた。家の回りにカンサイタンポポは一株もない。ほとんど全てがセイヨウタンポポで、わずかにアカミタンポポが見られた。どちらも外来種である。範囲を広げて日高町、旧豊岡市を見て回ったがカンサイタンポポはない。
 やがて、帰化種とは思えないタンポポを見つけたが、そのタンポポは大きなタンポポで、どう考えてもカンサイタンポポではありえない。ひょっとすると但馬にはカンサイタンポポはないのではと思っているうちに竹野海岸でカンサイタンポポを見つけた。それから海岸沿いに調べていくと、点々と見つかった。田結、気比、瀬戸、田久日、宇日、竹野、切浜と海のすぐ近くに大量に生育していた。私の調査では竹野町がカンサイタンポポの西限である。また、海岸線から1kmも内陸に入るとカンサイタンポポは姿を消す。城崎町で数カ所見つけたのが唯一の例外だった。
 海岸沿い以外はどうなのだろうか? 本当にないのだろうか? 山東町から夜久野峠、但東町から小坂峠を越えて京都府に入ると、但東町から登尾トンネルを抜けて京都府に入ると、道ばたにあるのはほとんど全てカンサイタンポポである。山の向こう側にだけカンサイタンポポがあるのはおかしいと思い、但東町で調べてみた。登尾峠、小坂峠の入り口付近を中心にカンサイタンポポを見つけることができた。高橋小学校あたりが境目になっている。同じように山東町、和田山町、生野町で旧国境を調べてみた。それぞれ数カ所でカンサイタンポポを見つけることができた。
 カンサイタンポポは但馬の端っこにへばりつくようにして生育している。そして但馬の中央にはヤマザトタンポポという別の在来タンポポが生育している。そんなことがわかってきた。しかしそれがどんな意味を持つのかはまだわからない。40年ほど前に日高町にカンサイタンポポが生育していたのは上坂規知郎氏の採られた植物標本の存在から確実である。40年間に何が起きたのか興味は尽きない。
追記
 「タンポポ調査2005」では、浜坂町の海岸近くでカンサイタンポポが発見されている。私はその場所に行ってかなりしつこく調べてみた。ヤマザトタンポポはたくさん生育していた。しかしついにカンサイタンポポは見つからなかった。
 「タンポポ調査2005」は、調査の精度を高めるために調査者は頭花を事務局に送るという方式を取っており、送られてきたタンポポは、花粉を顕微鏡で観察されることになっている。カンサイタンポポは、2倍体なので花粉の大きさが揃っている。浜坂町のタンポポの花粉はどう見ても2倍体のものだったそうだ。また探しに行かないといけないだろう。
 タンポポ調査2005では、氷ノ山へ向かう道なのだろう標高1000mくらいの所からもカンサイタンポポが報告されている。本来、タンポポが生育するはずのない場所である。どんな経路かは不明だが、カンサイタンポポの種子が移動したのは間違いないだろう。


コメントをどうぞ