ニセクロハツ


ニセクロハツ  ハラタケ目ベニタケ科ベニタケ属
 地味なキノコである。夏から秋の雑木林に落ち葉を持ち上げてぼっこりと出現する。灰褐色~黒褐色。カサは極めて厚く、饅頭型からやがて中央部がくぼみロート状になる。ヒダは粗い。傷つけると次第に赤く変色する。肉質はもろく弾力性に乏しい。
 猛毒菌である。食後数十分と早い時期から嘔吐、下痢、言語障害、尿の赤変、心臓衰弱、意識不明から2~3日後に死亡。食べてすぐに症状が出る毒キノコは深刻な事態に陥らないと言われるが、このキノコの場合はそうではない。すぐに症状が出て2~3日苦しんだ後に死に至る。致死量は2~3本。
 食菌のクロハツやクロハツモドキと良く似ており、外見で区別することは難しい。クロハツやクロハツモドキは傷つけると赤からやがて黒色に変色するが、ニセクロハツは赤くなるところで変色が止まる。ニセクロハツに似た未分類の類似種も沢山あるようで、現在比較研究が行なわれているということである。写真のキノコは赤変するが黒変しないことからニセクロハツと同定した。
ベニタケ科の仲間には優秀な食菌が多い。ハツタケはその代表格であろう。日本人にとってハツタケは、マツタケ・シメジに並ぶ良菌かもしれない。近縁のアカハツ、シロハツ、クロハツ、カワリハツ、その他ハツタケにちなむ食菌は多い。しかしシロハツにはシロハツモドキという毒菌があるし、クロハツにはこのニセクロハツという猛毒菌がある。数年前に食菌との説もあるシロハツモドキに挑戦してみて見事に中ったことがある。もしニセクロハツに中ったらただではすまない。クロハツは良い出汁が出るらしいが、最近の図鑑では毒菌とされているものもある。あやしいキノコへの挑戦は絶対にやめておいたほうが良い。
NPO法人コウノトリ市民研究所
主任研究員 稲葉一明
平成18年12月10日掲載


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