ヒガンバナ 草刈りのあとの赤い絨毯

ヒガンバナ  ヒガンバナ科

 今年もヒガンバナの季節がやってきた。ヒガンバナを漢字で書くと彼岸花だ。ヒガンバナは、毎年、ほぼお彼岸に花を咲かせる。全く見事なものだ。
 9月3日、新理科教育メーリングリストに「彼岸花はまだでしょうか」という発言があった。9月5日には福岡県から開花の知らせが入っていた。そうか、早いところではもう咲いているんだ、ちょっと気をつけてみようと思った。
 ようやくヒガンバナの赤い花が目に入ったのは、9月17日。ほとんどがまだつぼみだが、一部が咲き始めていた。場所は、日高町府市場。円山川の堤防だった。そこは、ほんの数日前に草刈りが終わったというような状況で、まさにヒガンバナのための舞台が整っているという感じだった。なかなかいい仕事をしているなあ、国土交通省と思った。
 国土交通省は、台風シーズンを前に堤防の点検がしやすいように円山川の堤防の草刈りをする。堤防の草刈りをしないとどうなるか? 堤防の異常が発見できないのは当然として、草を刈らないとやがて木が生えてくる。この木の根が悪さをする。大きく育った木の根が枯れたりすれば大きな穴があいて堤防はぼろぼろになる。堤防の草は毎年、毎年、年に数回刈らないといけない。堤防に草原があって、春に黄色いカラシナの花、秋に赤いヒガンバナの花、セイタカアワダチソウの黄色い花、・・・が決まったように咲くのは、国土交通省が定期的に草刈りをするからなのだ。
 府市場の堤防は、この記事が掲載される頃には赤い絨毯のようになっているだろう。タイミングよく草刈りをすると花は見事だし、花の後に地上に出てくるヒガンバナの葉は何者にも邪魔されることなく太陽の光を浴び続けることができる。ヒガンバナはそうして蓄えた栄養分で広がり、翌年には一層見事な花を咲かせることができる。私はヒガンバナの名所が増えることを願っている。そのためには、ヒガンバナの咲く場所では、なんとしても9月初旬には草刈りを終わってほしいものだ。

追記
 新理科教育メーリングリストというのは、左巻健男さん(同志社女子大教授)が代表の
会議室です。1000名を超す理科関係者が集まっています。 
 当初、写真は群落写真を使おうと思っていました。これから見事に咲きそうという感じがする写真だったからです。ところが紙面にあわせて白黒にすると、どこにヒガンバナがあるのかさっぱり分かりません。それで、白黒のものに差し換えました。紙面が早くカラーになればいいなと思います。