白い葉っていいな

ハンゲショウ ドクダミ科
 半夏生というのは夏至から11日目にあたる日で、ハンゲショウという名前は、
このころに花が咲き、葉が白くなるからだという説がある。また葉の半分が白
いので、半化粧だという説もある。

 ハンゲショウは本州、四国、九州、沖縄に生育する多年草で、水辺や湿地に
生え、1m前後になる。但馬では、各地に点々とあり、池や湿地には大規模な
群落が見られることがある。一方で川にはわずかしか生えていない。出石川、
竹野川、佐津川でも見たことがあるが、非常に狭い範囲にごく限られた数しか
生えていなかった。
 ハンゲショウは、6~8月に花を咲かせる。花期のハンゲショウはよく目立
つ。群落が大きいと本当によく目立つ。白い花かと思って近づくとそれは葉で
ある。しかも不思議なことに茎の上の方についている葉の先だけが白くなって
いる。
 ハンゲショウの花は、白い葉の中に咲いている。10~15cmのねずみのしっ
ぽ状に曲がった棒のようなものが花の集まり(花序)である。この花序に小さ
な花がたくさん咲く。小さな花には花びらもがくもなく、おしべとめしべがむ
き出しになっている。小さな花は花序の根本から咲き始めて先へ先へと咲いて
いくが、ちょうど開花している部分は水平になっている。これは、虫たちがタ
イミングよく止まれるようにわざわざ水平になっているのだそうだ。
 ハンゲショウも多くの花と同じように昆虫に花粉を運んでもらっている。花
の時期に合わせて白くお化粧した葉を見て昆虫たちがやって来る。あれ?花が
ないぞと探すと止まって下さいとばかりに水平になっているところがある。そ
この花だけがおしべもめしべも元気の活動していて、訪れた虫の体に花粉がつ
いたり、逆に虫の体から花粉がついたりするのだそうだ。
 花びらがなくて他の部分が白くなって虫を誘う植物は他にもある。マタタビ
がそうだし同じ科のドクダミもそうだ。マタタビは葉が、ドクダミは総苞が、
白くなる。ハンゲショウとマタタビは、どちらも虫を誘う必要がなくなると葉
白い葉っていいなは白から緑に戻って本来の仕事をするようになる。