稲葉 一明 一覧

田んぼの学校20120520 田んぼでオタマ、タイコウチなど


田んぼの学校20120520 田んぼでオタマ、タイコウチなど
参加者約90名 天気晴れ
寒くもなく暑くもなく、ちょうど良いお天気でした。各地でイベントが沢山あり、あまり人が集まらないのではと思っておりましたが、90名もの参加者となりました。初めての方も沢山いらっしゃいました。田んぼの学校のような生き物系イベントに気軽に参加できるのが豊岡の良いところだと思います。

5月の田んぼビオトープ、印象としては低調に感じました。アカガエルのオタマは豪雪の影響か例年なら上陸しかけの個体が主流となる時期ですが、まだまだ足も出ていないのが多かったです。
ゲンゴロウ類は好調で、コシマゲンゴロウが多数出ました。ヒメゲンゴロウ、ハイイロゲンゴロウなどは出ませんでした。トンボ類も低調で捕獲されたのはシオヤトンボのみでした。ヤンマ型ヤゴも出なかった。
子どもたちはとても熱心で、一生懸命観察していました。


出現した生き物は以下の通りです。抜けているものがあったらご指摘ください。>参加者
魚類:メダカ、 ドジョウ
甲殻類:ミナミヌマエビ
両生類:トノサマガエル、アカガエルオタマ、ニホンアマガエル、シュレーゲルアオガエル
昆虫類:オオコオイムシ、コミズムシ、タイコウチ、マツモムシ、ガムシ、ヒメガムシ、クロゲンゴロウ、シマゲンゴロウ、コシマゲンゴロウ、コツブゲンゴロウ、マルガタゲンゴロウ、アメンボ類、シオヤトンボ、トンボ型ヤゴ、イトトンボ型ヤゴ、ヒョウタンゴミムシの仲間
その他:ウマビル、
クモ類:スジブトハシリグモ、

コシマゲンゴロウ

シマゲンゴロウ

マツモムシ

オオコオイムシ  ちょうど孵化かが進んでいる個体。

スジブトハシリグモ 水の上を走ります。

トンボの羽化   ちょうど羽化しているのがいました。シオヤトンボかシオカラトンボだと思います。
お昼はハマチと地元野菜の大鍋を食べました。


田んぼの学校20120415 春の草を探す、食べる


田んぼの学校20120415 春の草を探す、食べる
参加者約60名 晴れ

暑くもなく寒くもなく、良いお天気で気持ちのいい田んぼの学校でした。
初めてこられた方も多く、たくさんの人数になりました。
やはり子どもたちの低年齢化は進み、主流は小学校前の子どもたちです。
今年は豪雪で冬が長く春が遅く、例年よりも10日程度植物の開花が遅れています。タンポポはほとんど咲いておらず、スミレもほんの一部しか咲いていません。シカの食害により、植物自体が花を咲かすことが出来ないというのも影響しているようで、残念ながら春の里山里地のお花がたくさん咲いているうららかな状況では有りませんでした。
これまでは毎年、法花寺の酒樽神社からさらに奥の在来タンポポを見に行ってましたが、距離が遠くてハードなため脱落者も多く、今年は手近にしました。

最初に芝生広場でコブシとタムシバの違いの勉強をしました。
次に、コウノトリ公開ゲージの少し奥で、サワオグルマの芽吹きを摘みました。
そこからは2班に分かれました。
大体小学生以上で元気な子は郷公園内の里山コース、小さな子やベビーカーの子は祥雲寺内の田んぼコースに分かれました。どちらも25人程度づつになりました。

里山コースでは、タチツボスミレはけっこう咲いていました。シカの食害のため、下層植生は悲惨で、ショウジョウバカマなどは見られませんでした。
野鳥も観察できました。キビタキ、センダイムシクイ、コサメビタキ、(以上、夏鳥)、メジロ、ホオジロ、イカル、ツグミ。

田んぼコースでは、ヨモギ、ヨメナ、ドクダミなどを摘みました。セイヨウタンポポがわずかに咲いていました。ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、タネツケバナが咲いていました。これらはシカよけの網柵のしてある畑ではたくさん咲いていましたが、柵の外ではシカに食べられているようで、明らかに食害の影響が出ていました。イノシシが耕運機で耕したように掘り起こしている田んぼもありました。シカの糞も沢山。

柵の内側は花がいっぱい。
でも、みんな春の里地を楽しんでいました。溝に一人は待ってずぶぬれになった子もいました。

コウノトリ文化館の横に戻ってくると、水路の生き物調査をする子がたくさんいました。
田んぼや水路の生き物調査が大好きな常連の子がたくさんいます。どうしても網を入れたくなるようです。

お昼はブリと地元野菜の大鍋と、みんなで積んだ野草の天ぷらをしました。大好評でした。
いつも美味しいですが、今回はブリの出汁の鍋と野菜やそうの天ぷらとが絶妙にマッチしていました。

サワオグルマ

芝生広場で楽しく食べました。
とてものんびり楽しい田んぼの学校でした。


田んぼの学校20120318 自然を食べる会、ソバ打ちなど


参加者 約34名 天候曇り
そばうちは根強い人気がある。ことにも参加者は30人を越えた。これ以上になると人が多すぎて困るが、今年も何とかよい人数になった。

友田主任研究員がそばうち指導。今年はそばの不作も影響し地元産そば粉が手に入らなかったのでやむなく北海道産を使った。強力粉は使わずにそば粉100%につなぎはヤマノイモ。


そば切りに新兵器を使用。これは正式導入すべきですね。
いつもうどんやきしめんの様なそばが出来てしまいましたが、今年はそんなことは有りませんでした。

鳴海理事の、そばの湯がきや洗いも年々段取りが良くなっている。
ユキノシタの天ぷら、かきあげ、そばのから揚げ、スイーツに団子もしました。
薬味のねぎは岩津ねぎ。やはり柔らかくておいしい。

今年も美味しくできました。

食後は、文化館横の水路でアカガエルの卵調査をする子もいました。ミナミヌマエビやアメリカザリガニ、ヤンマ型ヤゴ、ミズムシなども確認されました。


田んぼの学校20120219 冬の田んぼ、アカガエル調査


田んぼの学校20120219 冬の田んぼ、アカガエル調査
晴れ時々雪 
参加者8名(スタッフのみ)
豪雪の豊岡。28年ぶりの1m積雪。
コウノトリの郷公園は1.5mほど積もっている。田んぼの学校が一日前の18日土曜日なら、スタッフの多くもたどり着けなかっただろう。田んぼの学校始まって以来、一般参加者が無かった。これまで、雨の日も雪の日も、必ず人家族は参加者があったが、今回はとうとう参加者が無かった。それだけすごい雪だということだろう。普通なら自宅周辺の雪かきで外出どころではない。
(なのにスタッフが8名も来ているのだが、、、)

雪に埋もれたコウノトリ文化館

みんな雪の中
さすがにアカガエルの卵塊調査は断念した。田んぼは雪に覆われているし、スノーシューがなければそこまでたどり着けない。昨年もかなりの雪だったが、かろうじて卵塊を発見できた。しかし今年は確認することが出来ない。この大雪だから、カエルも出て来れないし、生みつける水辺までたどり着けないのではないかと思うが本当のところは分からない。
調査は無理なので、私が今回導入したスノーシューをみんなで順番にはいて、その威力を確認したり、雪の中を歩き回ったり、埋もれた室外機を掘り出してエアコンを稼動させたり、早めにシシ鍋を食べたりし、鍋を片付けて雪を落とす場所を確保してから、市民研倉庫事務所の雪下ろしをすることにした。

屋根に上るのは簡単だ。すでにほとんど屋根まで雪が届いているからだ。
2月9日までの大雪で70センチほど積もっているその上に今回の新雪が70センチほど積もっている。上層は柔らかく新鮮な雪、下層はすでに粗目になっている。はっきりとした2層になっており、表層雪崩が起きる仕組みがよく分かる。



みんなで雪かき、面積がそれほど大きくないから速やかに終了。
空を見上げるとクマタカが飛んでいました。


クロベンケイガニ


クロベンケイガニ (十脚目 イワガニ科Chiromantes dehaani)
黒弁慶蟹

円山川の下流域の石積み、土手などにいる。石の隙間や土の穴に住んでいる。よく似た仲間にアカテガニもいるが、アカテガニよりは水に近い場所で生活している。

 陸上で生活するクロベンケイガニやアカテガニは、挟み脚の付け根にある給水口から水を体内に取り入れ、鰓で呼吸する。その水を口の上にある孔から出して、酸素に触れさせて、再び吸水口から体内に取り入れる。同じ水で繰り返し鰓呼吸するのだ。だから水分が不足してくると、水は粘りけを増して泡ふき状態になる。

雑食性で枯れ草やミミズなどいろいろなものを食べているようだ。
全体が黒っぽいが、大型になると挟み脚が青紫色になってくる。
 兵庫県レッドデータではCランクに記載されている。「特殊な環境に生息・生育する種、個体数の極めて少ない種、分布域の極限している種等県内において存続基盤が脆弱な種」ということである。円山川下流域でも、いるところには沢山見られるが、どこにでも普通には見られるということはない。


ヒコナミザトウムシ


ヒコナミザトウムシ
 (ザトウムシ目、 マザトウムシ科 Nelima nigricoxa Sato & Suzuki)
ザトウムシは山の中で生活している。節足動物のクモ綱に属し、クモに似ているがクモのように頭胸部と腹部でくびれていない。複眼でもない。単眼が一対ある。座頭虫、めくらグモなどと呼ばれるがちゃんと眼はある。糸も吐かない。分類的にはダニに近いようである。

山の中を歩いていると、よくザトウムシを見かける。長い足で動体を浮かして、地面や樹上をゆっくり歩いている。私はこれまでザトウムシについてはほとんど調べたことが無いのであるが、里山で見かけるものは小さくて弱々しいものが多いように思う。昨年秋に標高の高いブナ・ミズナラ林で、やけにデカイザトウムシに出会った。これまで持っていたザトウムシのイメージとかなり違う。大きくてしっかりしているのだ。ネット等で調べてみて自分なりにオオナミザトウムシと同定したが、オオナミザトウムシは円山川以東にしか分布していないことが分かり、外見的にはほとんど識別困難なヒコナミザトウムシであるとの結論に至った。

胴体が大きい。1センチぐらいある。足が長い。足まで入れると手のひらぐらいになる。
SFの宇宙生物のようである。頭胸部から出ている、一対の単眼、4対の脚。山の中は小さな虫にとっては障害物だらけで、飛んだり、飛び跳ねたり、掻き分けたり、もぐったりして移動する、あるいはほとんど移動せずに生活するものが多い。しかし、ザトウムシは長い足で動体を持ち上げ、8本の足でゆっくりと歩いて移動する方法をとっている。

SF映画にこういう形態の生物とかロボットとか乗り物とかがよく出てくるように思う。独特なのである。
落ち葉などを食べているのかと思ったら、意外と動物食で昆虫の死体などを食べているようだ。あまり生態が研究されていないグループのようです。普通種。

写真:2011年11月 兎和野高原
*このブログに投稿時点ではオオナミザトウムシとしておりましたが、ザトウムシの研究者である鶴崎展巨先生のお話を聞く機会があり、ヒコナミザトウムシであることが分かりましたので、記述を修正しました。平成24年6月2日。


田んぼの学校20111218 木の実や蔓や木切れで工作


田んぼの学校ネイチャークラフト
曇り 参加者約50名
ネイチャークラフトは人気があって毎年たくさん参加者がある。
お母さん方はリースづくり、子どもたちはさまざまな芸術作品。

展示室で行うので観光客の方も興味津々。

今回もたくさんの作品が出来上がった。

大鍋は魚のつみれと地元野菜。寒いときに鍋は温まります。好評でした。


クリタケ


クリタケ (ハラタケ目 モエギタケ、クリタケ属 Naematoloma sublateritium (Fr.)Karst.)栗茸
秋から初冬に広葉樹の倒木、切り株、土中の埋もれ木から群生。カサは茶褐色でクリの色のイメージに近いものが多い、名前の語源であろう。若いカサは繊維状の薄皮をほろほろとまとっているのも特徴だと思う。キノコらしい形。ツバ、ツボはない。

歯ごたえ良好味温和。市販のブナシメジのイメージにちかいと思う。あたればごっそり大量収穫できるのが良い。鍋でも油を使った料理でも用途は広い優良菌。
近年は、毒成分を含んでいるので毒菌に分類されている本もあるが、古くから食用とされている。
間違いやすい毒菌としてはニガクリタケがある。ただ、ニガクリタケは色合いがレモン色っぽいのとやや小さめで、噛めば苦いので見分けるのは難しくない。
秋のブナ林では、クリタケ、ナメコ、ムキタケの3種が主たるねらい目になるのでしょうか。
2011年11月23日 兎和野高原 


田んぼの学校20111016 アカトンボ調査


参加者 約30名 晴れ
秋祭りの日なので参加者少ないかと思ったが、結構な人数になりました。
みんな熱心にトンボ捕りしました。

オニヤンマも捕れましたし、トンボじゃないけど、ヤマカガシやヒバカリの幼蛇もつかりました。ヒバカリが捕れたのは初めてです。

オニヤンマ

赤いほうがヤマカガシ、地味なのがヒバカリ
以下上田代表のコメント。
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田んぼの学校ご苦労様でした。
今日はなかなか楽しかったですね。
最後にカメとヘビで盛り上がりました。
イシガメ、ヒバカリ、ヤマカカシ
ヒバカリはエレガントでおとなしくペットにぴったりですね。
キトンボとネキトンボは確実に増えています。
アキアカネがまだ少ないです。
それと、ノシメトンボが1匹もいなかったことに気がつきました。これは異変です!
田んぼではいるのか、調べてみないと。
たしかに、郷公園の中は、ノシメにはあまりいい環境ではありません。
オニヤンマとギンヤンマがまだいたのも、はじめてのことです。
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観察と説明

一覧
鍋はブリと野菜


サナギタケ


サナギタケ
 (バッカクキン目、 バッカクキン科、冬虫夏草属Cordyceps militaris (Vuill.) Fr.)
蛹茸
 香美町村岡区の兎和野高原で、冬虫夏草を見つけた。ブナ、ミズナラ、スギなどの森で、腐葉土の地面から、オレンジ色の棍棒状のキノコが生えている。掘り返してみると大きな蛹からキノコが生えている。蛹はスズメガの仲間のトビイロスズメだと思われる。

 冬虫夏草、冬は虫なのに夏には草になるという意味、少し乱暴な表現である。ガやトンボなど昆虫類にキノコの菌糸が入り込み、やがて昆虫の体内で虫体を栄養源にはびこり、最終的には宿主(虫)を殺しキノコを発生させる。イモムシタケ、トンボタケ、セミタケ、、いろいろな種類がある。今回見つけたのはサナギタケ。鱗翅類の蛹からキノコを発生させる。
冬虫夏草は近年盛んに臨床的研究が行われ、冬虫夏草からの抽出物質の持つ免疫抑制効果、抗癌作用が明らかになり、カイコを育て、サナギタケを栽培し、乾燥、滅菌、粉砕して冬虫夏草製品として販売もされている。販売業者のサイトには、核酸系の化合物コルジセピン、ガン細胞に有効な免疫物質β-グルカン、体内のガン細胞を殺すナチュラルキラー細胞数を増やし活性化するホルモンであるメラトニン、腫瘍壊死因子のTNF-αが含まれていると記載されている。中国では昔から不老不死、強精強壮の秘薬として重用され、結核、慢性喘息、慢性気管支炎、慢性腎炎などの薬として用いられたとのこと。
サナギタケによく似たキノコは近縁のイモムシタケ。ほとんど同じようなものらしい。
ちょっと見にはベニナギナタタケにも似ていますが蛹から出ているかどうかで間違うことは無いと思います。
薬効優れたサナギタケであるが、大きなトビイロスズメの蛹に白い菌糸で覆い、頭部から出ているサナギタケを見ると、服用してみる気にはなりませんでした。
2011年10月9日 兎和野高原 3枚目のみ持ち帰り10月15日自宅で撮影


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